各地域による製造業

日本の産業で今日でも主力となっているのは製造業で、その業界団体は今日でも政財界で大きな発言力を持っています。そんな製造業に分類される業種はたくさんあり、代表的な業種やつくられている製品は地域によって異なります。

例えば、都道府県単位では日本で最も広大な北海道の場合、苫小牧と釧路の製紙・パルプ業、室蘭の製鉄業および化学製品の製造業、函館の造船業と各地域で特性をいかした産業が展開されています。また道庁所在地の札幌は、日頃テレビや新聞などを見ているだけでは産業に対するイメージがもたれにくいですが、道内でつくられた農産物や近海でとれた水産物を加工する産業がさかんです。産業分類別の出荷額で最も高いのは食料品製造業で、道内の出荷額全体の3割を占めています。

東北地方では、最大の都市である仙台を含む宮城では石油化学製品や機械製品が製鉄業の中心です。青森では農産物の加工、岩手では輸送用の機械器具、山形と秋田は電子部品や情報通信機器、福島では情報通信機器や化学製品の製造業が主要な業種となっています。東北地方の産業は2008年に起きたリーマンショックや、2011年に発生した東日本大震災の影響でよって大きな打撃を受け、出荷額が大きく落ち込みましたが少しずつ回復していき、2018年の時点ではほぼ東日本大震災前の水準まで回復しました。

関東地方には京浜工業地帯があり、ここに様々なメーカーの国内最大規模の工場が立地しています。そのためあらゆる業種がさかんであるといえますが、臨海地域では化学製品の製造や鉄鋼業、内陸地域では機械製品の製造と中心の業種が異なります。

中部地方には、南部の太平洋側に日本最大の工業地帯である中京工業地帯があり、自動車・航空機・化学製品・鉄鋼など様々な業種の大手企業が大規模な工場を構えています。北部は繊維製品の製造の比重が他地域と比べて大きい点と、多くの場所で伝統工芸品の製造がさかんに行われている点が特徴です。


近畿地方のものつくりの中心は阪神工業地帯で、医薬品・化学製品・金属加工品・電機製品・造船業の工場が多く立地しており、開発のための研究所も多いです。中国・四国地方は瀬戸内海周辺が産業の中心で、自動車・造船・鉄鋼・化学製品の製造が盛んに行われています。九州地方は北九州工業地帯をかかえる北部地域にたくさんの工場が立地しており、自動車や鉄鋼、半導体、セメントの各製品がつくられています。