日本史における製造業の重要性
日本は世界的に優れた技術を持つものづくりの国として知られていますが、それほどに製造業が発展したのが明治維新がきっかけです。西洋化を果たし諸外国に並ぼうと海外から技術者を招き日本で様々なものがつくられるようになりました。明治の終わり事になると日清戦争で勝利をして多額の賠償金を得たことから、それを資金源とした重工業が伸びて産業の主力は軽工業から重工業へと交代しました。それからは、財閥と呼ばれる強大な企業グループが生まれて、日本経済を支える重要な柱となり、更に工業化が進みました。
やがて戦争が起き軍需産業ばかりに資金と人が注ぎ込まれるようになり、製造業も大きな影響を受けるようになりましたが、戦後の復興を支えたのはやはり製造業です。そこに朝鮮戦争による特需で鉄鋼業なども輸出量が良くなり高度経済成長期を迎えます。また、製造業が発展していく中で、日本ならではの工夫が多く生まれて海外メーカーの商品も多く作るようになっていきました。そうして戦後の混乱を完全に脱したとき、高等教育を受けた人々が働くようになり、日本が抱える資源の少なさや環境汚染などの問題を克服できる高度な技術を生み出しました。そうして日本はものづくり大国と呼ばれるようになったわけですが、バブル崩壊以降は設備投資に回せるお金が少なくなるし、日本の会社も製造拠点を海外に移転するといったことで衰退の一途をたどっています。さらに、製造業の発展を支えてきた世代の人達が、高齢化で退職することになり技術を受け継ぐ人間がなく失われていくことも大きな問題となっています。
このように日本史を紐解けば、製造業がいかに重要な存在であったのかがわかります。では、その先人が残したものを将来にも伝えるためにはどうするべきかというと、後継者を育てること以外にはありません。ただ、現代では若者がやりたい仕事というとIT企業ばかりで、製造業を希望する人が減っています。それを解決するためには、行政による支援や企業と人を育てる学校が協力する産学連携を推し進めることが必要です。